いすゞ自動車は、米エンジンメーカー大手・カミンズとの協業を本格化する。横浜市に開発拠点を開設し、ディーゼルエンジン(DE)の基本設計共有化に向けた共同開発を開始した。年内には両社のエンジン開発に成果の一部をフィードバックする。ホンダやボルボとの協業で電動化への対応を進めるものの、電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)は、充電時間や航続距離、コストといった課題も多く、普及の時期は不透明だ。カミンズとの協業を通じて大黒柱であるDEの燃費性能やコスト競争力を磨く。

 両社は昨年5月、パワートレインに関する包括的パートナーシップ契約を締結した。約120万基のエンジンを生産するカミンズは大型車に強く、約80万基のエンジンを生産するいすゞは小型車に強い。中長期的にはEVなどでの協業や生産、調達面での連携も検討しており、第1段階としてDE基本設計の開発を開始した。

 横浜市の拠点には両社10人ずつのエンジニアらが常駐する。同拠点の研究データや開発成果には個社が自由にアクセスできない仕組みとし、一定の成果が出た段階で両社にフィードバックする。基本設計そのものの完成は数年後になるが「年内には何らかの形で成果が出てくる」(片山正則社長)見通しだ。

 いすゞは昨年12月に大型トラック領域でCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)に対応するためにボルボと提携。1月にはホンダとFCVの共同開発を決めた。領域ごとに最適なパートナーと協業し、開発費用を分担した上で、多様なパワートレインを提供できる体制の整備を進める。一方、EVやFCVは「顧客のニーズに対応することは現状では難しい」(同)。燃費性能やコスト競争力を高めたエンジンを開発し、新興国を中心とした海外市場の開拓につなげる。