オートサロンで公開したハイラックスGRGコンセプト

 トヨタ自動車系列ディーラーの有志連合による新たなカスタマイズカー「ハイラックスGRGコンセプト」が誕生した。複数のディーラーが企画や開発に携わり完成した車両で、このほど開催された東京オートサロンで初披露した。ディーラーが独自の特別仕様車をつくるケースは多数あるが、資本を超えて複数ディーラーが共同で車づくりに取り組むのは極めて珍しい。顧客と身近に接するディーラー各社でタッグを組み主体的に商品をつくり上げることによって、よりユーザーニーズに合致した商品を供給できると考え実行した。これまでのディーラーの枠組みを超えた新たな共同ビジネスとして注目を集めそうだ。

 ディーラー連合による新たなカスタマイズ車はアルゼンチン向け「ハイラックス」のパーツなどを厳選し、特別に装備した。トヨタの子会社でカスタマイズ事業を手がけるトヨタカスタマイジング&ディベロップメント(TCD、稲垣和也社長、横浜市港北区)も協力。ディーラー各社にはノウハウの少ない海外パーツの輸入手続きなどで、今回の取り組みを支援した。活動に参画したディーラー各社はTCDを通じてパーツを入手し、カスタム車づくりや部品・用品として販売していく。

 今回の車両は、現時点でハイラックスを取り扱うとともに、モータースポーツを軸とした店舗「GRガレージ」を有する全国12社で販売をスタートする。例えば、トヨタモビリティ東京(TMT、片山守社長、東京都港区)では車体色が白と黒の完成車(消費税込み価格456万円から)を各限定10台で用意し、自社のGRガレージ4店舗で販売する。TMTでは2月中旬以降、パーツ単体も販売する計画。このように、完成車としての提案やパーツ単体の販売など、参画したディーラーが自社やユーザーの要望に合わせ、さまざまな取り組みに発展させられることが大きな特徴となっている。

 プロジェクトの中心人物でもある群馬トヨタ(群馬県高崎市)の横田衛社長は、「(取り扱い車に)ディーラーの力を結集して新たな魅力を付加していくことで、事実上の商品ラインアップを増やせる」と力を込めた。同社はパーツ販売を行う方針だが、新車装着だけでなく「既存のハイラックスオーナーにカスタマイズを提案していきたい」との思いがある。それぞれのディーラーが、一つのカスタマイズカーをきっかけにさまざまな活動を行っていくことで、「足元でもやもやしている国内市場を元気にする一助になれば」(TMTの片山社長)と期待をかける。

 ハイラックスGRGコンセプトは、GRガレージが扱う初の本格オフロード車になる。この実現には「メーカーの英断があった」(群馬トヨタの横田社長)と感謝する。メーカーの支援に応えていくためにも「さまざまなユーザーの声をトヨタにも届けていく」(同)方針。また、「もっとこうした取り組みの輪を広げていきたい」(同)と、ディーラー有志連合のプロジェクト発展を目指していく考えだ。