独BASFは6月26日、「2019-2020年自動車カラートレンド予測」で、これまで人気の薄かった「シルバー」をテーマにした幅広い色域と色とりどりの有彩色域が注目カラーになると発表した。

自動車カラートレンド予測は同社のアジア太平洋、北米地域、欧州・中東・アフリカそれぞれのコーティングス事業本部のデザインチームが今後3~5年先の自動車のカラートレンド傾向や、最新技術を活用した塗料などを予測するもので、世界の自動車各社のカーデザイナーなどがコンセプトを考える上でのヒントにしている。

今回の予測のトレンドテーマは「ACT/9(アクト・スラッシュ・ナイン)」。ポストデジタル時代を想定し、新しいデジタル技術を開発するのではなく、人が最適な環境を実現するため、どのテクノロジーを使うのかを模索・実践していく時期に入る。全く新しい世界を創造する行動(ACT)と、新時代の予感として10の前である「9」を表現した。カラーは「人を中心とした温かみのある色域や意匠」が求められると予測する。

アジア太平洋のテーマカラーは、ホワイトとシルバーの中間色となる。アジア太平洋で人気のホワイトと、グローバルで人気の薄いシルバーを掛け合わせた未来感を表現したカラーが注目される。同地域でブルーは引き続き人気だが、着色アルミを使ったこれまでと異なるブルーに人気が移ると見る。

世界最大の自動車市場である中国は個性的な強めのカラーが注目されるほか、電気自動車(EV)向けなどに、柔らかいシルバーとホワイトメタリック系がトレンドになると予想する。

北米はこれまで自動車に使われていない新しい価値観を表現したギラギラ感のあるカラーがトレンドになる可能性がある。欧州・中東・アフリカは、人の肌の温もりを感じられるカラーに加え、新しい価値観や、柔軟な考え方を表現したパープルなどの個性的なカラーも注目されるとしている。

また、北米と欧州ではカーシェアなどの普及に伴ってソリッドカラーが人気になると見る。特に自動運転用のLiDAR(ライダー)など、センサーを遮蔽しないよう、機能も重視したカラーがテーマになると予想する。

自動運転技術の進化や電動シフト、ライドシェア・カーシェア市場の拡大など、自動車を取り巻く環境が大きく変化する中、同社では、自動車に求められるカラーにも「豊かな個性や新時代を象徴する自由な発想が求められる」と予測する。