整備事業者、保険を通じ信頼関係深める 特約付加で普段の生活もカバー

  • 自動車整備・板金塗装
  • 2025年12月25日

 車検や車両販売とともに、整備事業者の事業の柱になっているのが自動車保険だ。現在の商品は特約を付加することで交通事故だけではなく、普段の生活におけるトラブルもカバーする。また、交通事故の状況を映像で記録する通信型のドライブレコーダーを付帯した商品もある。整備事業者にとっては保険を通じて顧客と信頼関係をさらに深めるチャンスでもあり、腕の見せどころにもなっている。

 保険販売を手掛ける整備事業者の多くは、車両の販売からメンテナンス、事故対応を含めて顧客をトータルで支援することを意識している。詳しい顧客属性などを知ることができる保険は、深い関係を築きやすいからだ。

 そのため、石山(石山豊社長、千葉県木更津市)では自動車保険とともに、レンタカー特約の付帯を勧めている。2022年頃にレンタカー部門を立ち上げ、代車の提供を含めた事故対応を同社で完結させるための仕組みを整えた。現在、80台ほどの車両を所有しており、事故を起こした顧客などに代車として提供している。特約なしでレンタカーを代車利用した場合の費用と保険料を比較して顧客に説明することで、加入を促している。

 群馬県伊勢崎市のアイザワコーポレーション(木村雅彦社長)は、自動車保険とともに三井住友海上火災保険のドライブレコーダー付きの保険提案に力を入れる。事故やあおり運転などから身を守る手段として提案している。細川商会(細川賢裕社長、岩手県北上市)も、他社への代替を防ぐ効果があるとして積極的に案内している。

 車に乗っていない時の事故をカバーするため、木村モータース(二ノ宮絵美社長、群馬県明和町)では、個人賠償の加入促進に力を入れている。顧客の子どもが起こした事案で保険に未加入だったため、賠償責任を負った事例を説明して契約につなげている。岩田自動車工業(岩田耕一社長、埼玉県三郷市)で保険を担当する左京匡世さんも、自転車でけがをした自身の体験談を交えながら、「自転車傷害補償特約」の有用性を訴えている。

 また、細川商会では、損害保険ジャパンの代理店組織のAIRオートクラブ(森山達人会長)が提供しているチェックシートを活用し、特約などの提案漏れを防いでいる。シートでは特約の付帯状況などが一目で分かるようになっているという。加えて、顧客の希望を尊重し、無理な勧誘は行わないところも多いが、木村モータースの二ノ宮社長は「加入しない顧客にはそのリスクを説明し、念を押す」ことでリスクを抑えている。

 アイザワコーポレーションの創業者の相澤正雄会長は、8歳の時にペルーから来日し、両親や知人らが車を購入する際に受けた対応が保険ビジネスの根本にあると説明する。同社は英語、スペイン語、ポルトガル語、ベトナム語と多言語で対応し、日本に住む外国人には自動車保険への理解と、日本人の考え方などを伝え、保険の大切さなどを伝えている。

 整備戦略1月号では特集「保険はこう提案する」を掲載します。

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