ASRAとアイメック、車載半導体で戦略的提携 チップレット標準化を推進

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  • 2025年12月16日

日本の自動車各社が参画する「自動車用先端SoC技術研究組合(ASRA)」と、ベルギーの国際研究機関imec(アイメック)は16日、戦略的提携を正式に発表した。車載半導体をめぐって、「チップレット」と呼ばれる技術でアーキテクチャー(構造)の仕様標準化に向けて協調する。共通する要素を盛り込んだ共同の仕様文書を2026年半ばまでに提供することを目指す。自動車メーカーがそれぞれの製品に最適なSoC(システム・オン・チップ)を搭載できるように支援する。

両者の協力は先ごろ明らかになり、最終調整が進んでいた。自動車のコンピュータ化が進む中、日欧の代表的な組織同士が連携することで、次世代自動車の頭脳であるSoCを設計・開発しやすくなるほか、競争前の「協調」領域の連携を強化することで、開発リソースを集中させ、各社が個別に抱えていた技術的な課題を効率的に解決することが期待される。ソフトウエア・デファインド・ビークル(SDV)の実現も後押しされる。

提携では、まず26年半ばをめどに、共通の仕様文書提供を目指す。アイメックのオートモーティブ担当バイス・プレジデント、バート・プラックル氏は「共通の仕様を共同で検討・推進し、互いの取り組みを基盤として発展させることで、パートナー企業に対し、技術がスケーラブルで広く採用可能との確信を提供できる。市場の混乱や不確実性を低減し、導入を加速するだろう。すべてのステークホルダーにとりウィンウィンであり、協業が業界全体に広がる“雪だるま効果”を生む」としている。

アイメックは、半導体など先端技術の世界的な研究機関。各国の企業とも関係を構築している。日本の半導体新会社ラピダス(小池淳義社長、東京都千代田区)に協力していることでも知られる。自動車関連は注力分野の1つ。複数の半導体チップを組み合わせるチップレットや、それを最終的に仕上げるパッケージング関連の研究拠点新設を発表している。欧州委員会の動きとも呼応している。「オートモーティブ・チップレット・プログラム」(ACP)という取り組みを展開し、約20の国際的な企業などが参画している。

一方ASRAは主要自動車メーカーやティア1、半導体業界など10社余りが参画。チップレットをめぐり、2028年ごろまでに技術を確立し、30年にも量産車に搭載する目標を掲げている。

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