ホンダが5月10日に発表した2024年3月期の営業利益は1兆3819億円(前期比77.0%増)と過去最高を更新した。売上高、当期純利益も過去最高を記録した。北米のハイブリッド車(HV)販売など四輪の台数が増加したほか、値上げや円安の効果も大きかった。25年3月期は研究開発費や諸経費の増加が利益を圧迫するものの、販売拡大やさらなる値上げの効果などで営業増益を見込む。26年3月期の達成を目指していた「売上高営業利益率7%」という目標を1年前倒しで達成する計画だ。

24年3月期の四輪販売台数は410万9千台(同11.4%増)だった。中国を含むアジア販売は落ち込んだものの、HV需要の拡大や生産制約の解消で北米が大幅に増加した。

23年3月期までは四輪事業の収益性が課題だったが、派生車種の削減などの効率化に加え、台数が増加したことで四輪事業の営業利益は、前期の赤字から5606億円(営業利益率4.1%)に改善。二輪事業の営業利益も過去最高の5562億円と好調だった。その結果、24年3月期の営業利益率は前期から2.2ポイント改善の6.8%まで上昇した。「為替影響」による増益効果は1511億円だった。

25年3月期は、売上高は前期から0.6%の微減となるが、営業増益を見込む。想定レートを1ドル=140円と円高方向に設定したほか、研究開発費を前期より2割以上多い1兆1900億円に積み増すが、販売台数を412万台へ増やすとともに、値上げや収益性が高いHVの販売比率を高めることなどで営業利益率を7%に引き上げる。

ホンダの決算会見は慣習的に副社長が説明することが多いが、今回初めて決算会見に登壇した三部敏宏社長は「会社の状況をトップが直接発信することが重要。1年前倒しでの達成を目指すROS7%にリーダーシップをもって取り組んでいく」と語った。

また、20年代後半に性能やコストを高めた新世代HVを投入する方針や、日産自動車との協業内容を近く発表する考えも明らかにした。