日産自動車は5月9日、2025年3月期の業績見通しを発表した。売上高は13兆6千億円(前年度比7.2%増)、営業利益は6千億円(同5.5%増)、当期純利益は3800億円(同10.9%減)を見込む。売上高は過去最高となる。インフレ費用や販売費用、設備投資の拡大などが利益を押し下げるものの、販売台数の回復に加え、原材料高の一服などで営業利益を上積みする。

25年3月期の販売計画は同7.5%増の370万台。内訳は中国が80万台(同0.8%増)、日本が50万台(同3.3%増)、北米が143万台(同13.3%増)、欧州が38万5千台(同6.5%増)とした。前中期経営計画で販売台数が低迷したことを踏まえ、決算説明会で内田誠社長は「24年度は、さらに伸ばさなければならない。特に北米は努力していかなければいけない」と述べた。

24年3月期の業績は、4月に下方修正した数値から営業利益と純利益が上振れし、それぞれ5687億円(同50.8%増)、4266億円(同92.3%増)となった。中東の一部地域で販売を委託するアル・ダハナ社と係争状態にあったことで訴訟関連費用として特別損失を計上していたが、下方修正を発表した後にドバイ裁判所が日産を支持する判決を出したため、増益要因となった。売上高は12兆6857億円(同19.7%増)で過去最高だった。

このほか、内田社長は下請法違反で公正取引委員会に求められていた再発防止策を遅くとも6月に提出することを明らかにした。