神奈川県寒川町の河西工業本社

日産自動車は5月9日、河西工業に60億円出資すると発表した。河西が行う第三者割当増資を日産が引き受ける。これにより日産は河西に13.05%を出資する筆頭株主となる。河西は売上高の6割近くを日産が占め、日産の生産台数減少で業績が悪化していた。日産は主要サプライヤーの支援を通じて、供給網の維持を図る考えだ。

第三者割当増資は、6月27日に開催予定の株主総会での承認を得て実施する。日産に対して普通株式と同等の議決権のあるA種優先株式を発行する。現在の筆頭株主は長瀬産業で13.92%を出資する。日産は現在出資していないが、今回の株式取得により筆頭株主となる。

河西は調達する60億円を、生産設備の拡充や移転など生産拠点の最適化に使う。北米に総額36億円、欧州に同18億円、国内に6億円投じる計画だ。

河西は、北米事業の不振などで2023年3月期まで4年連続で最終赤字を計上した。米マディソン工場の譲渡などで固定費の圧縮を進めるほか、日産以外の取引先の開拓にも注力してきたが、業績回復には至らず、自己資本比率は19年12月末の38.8%から、23年9月末には9.0%にまで低下した。

24年3月期も経営環境は厳しく、今年2月には金融機関と結んだシンジケートローン(協調融資)の返済期日を5月末に延期することを発表していた。