東海理化の二之夕裕美社長(左)

 トヨタ自動車系の中堅部品メーカー6社が25日に発表した2025年3月期の業績見通しは東海理化、フタバ産業、ファインシンターの3社が減収予想とする一方、愛三工業、大豊工業、中央発條の3社が増収を見込む。足元では、トヨタが「余力づくり」に取り組むが、高水準の車両生産は続く見通し。各社は中国市場の減速など、独自にリスク要因を織り込みつつ、柔軟な生産体制で追随する。

 2024年3月期業績は、主納入先であるトヨタの好調な車両生産を受け、全社が増収増益(黒字化含む)となった。

 東海理化は、24年3月期の連結売上高や純利益が過去最高となる一方、今期は減収減益を予想する。二之夕裕美社長は「海外の減速で中国とタイを弱めに見ている」と説明した。「プリウス」のリコール(回収・無償修理)事案に関しては「代替部品をいち早く届けることに全力を注ぐ」と語った。

 フタバ産業は減収減益を見込む。魚住吉博社長は「中国など日系メーカーが苦戦している地域について、当社なりに予想台数を置いた」と語った。24年3月期は北米事業の黒字化など収益改善の効果で、連結売上高と各利益項目が過去最高を更新した。

 愛三工業は今期も増収と営業増益を見込むが、純利益は減益予想だ。24年3月期の連結売上高と各利益は、デンソーから譲り受けた燃料ポンプモジュール事業などの数量増や円安などにより、過去最高を更新した。野村得之社長は「コロナ禍でも生産変動には小さく構え、柔軟に対応してきた。今回の足場固めでもアジャストする」と語った。

 中央発條も、中国リスクなどを織り込みつつも増収を予想する。北米事業の改善や高付加価値製品の売り上げ増により、24年3月期の連結売上高は初めて1千億円を突破した。大豊工業は、インバーターケースなどの電動化部品が伸びて増収増益を見込む。ファインシンターもインバーター部品などの好調や設備の寄せ止め効果などにより前期に黒字転換し、今期も営業利益が回復する。

 中国市場や為替など先行きが見通しにくい中、新工場の立ち上げなどで過去最高の設備投資を見込む東海理化、高水準な研究開発投資を続ける愛三工業など、各社は将来への種まきにも注力する。