とよはし産業人材育成センター
トレーラーの走行講習も行われる

 極東開発工業のグループ会社日本トレクス(高崎文弘社長、愛知県豊川市)は、トレーラーの運転訓練に特化したドライビングスクールを4月に開校する。教習所には用意がないフルトレーラーも訓練可能。架装メーカーがドライビングスクールを運営するのは極めて珍しく「同業他社では例を見ない」(同社)という。輸送事業者は、トラックドライバーの残業規制強化にともなう「2024年問題」で、ドライバー不足のさらなる深刻化を懸念している。こうした中、同社はスクールを自ら立ち上げドライバー育成に注力し、運輸事業者の人材確保を支援すると同時に、自社製品の拡販につなげたい考えだ。

 「トレクスドライビングスクール」では、愛知県豊橋市のとよはし産業人材育成センター敷地内の運転コースを借りて、トレーラーに特化した運転訓練を実施する。主な訓練対象者は初心者や、大型車からトレーラー(牽引車)への乗り換えを検討するドライバーで、普通運転免許の保有者も参加可能だ。法人対象の研修も行う。

 日本トレクスは利用者について週1回の講習で1日4人を想定。今夏には大型トラック2台分の貨物をドライバー1人で輸送可能にする「ダブル連結トラック」の運転講習も開講する予定だ。

 高崎文弘社長は「ゆくゆくはダンプトレーラーの講習も実施したい」と、講習内容を拡充する方針だ。

 当初の主な研修メニューは、トレーラー本体や右左折・進路変更など走行の基礎知識および、直線やクランクでの後退操作、後退操作しながらの方向転換、総合走行などとする。トレーラーの連結方法や補助脚の出し方、整備なども学べる。

 担当者は「教習所とは異なりフルサイズのトレーラーを運転できる。また、細かな操作方法などについても学べる」など特徴を述べた。トライアルとして先行実施した講習では「参加した管理職から、運転指導者の立場としても良い経験になった」との評価を得るなど、手ごたえをつかんだ。

 高崎社長は「ダブル連結やスワップボデーの使い方を提案する機会にもなる」と、ビジネスチャンスをうかがう。その一方で「少しでもドライバー不足の解決に協力したい」という思いが一番の開講理由だと述べた。

 足元では道路貨物運送業のドライバー不足が深刻化している。帝国データバンクの調査「人手不足に対する企業の動向調査(2024年1月)」によると道路貨物運送業では「人手不足を感じる企業」が7割を超え72・0%となった。4月以降のドライバー残業規制の強化に伴いさらなる人手不足が懸念される中、同社は架装メーカーとしての事業の枠を超えて、一石を投じる。