高校時代、私は陸上部中長距離ブロックに在籍していた。ある年の国民体育大会(国体)の県予選でのこと。女子の後輩が800㍍決勝に出場し、ゴールの直前でライバル校の選手に抜かれ優勝を逃した。彼女の国体出場の夢は、ほんの胸の差で叶わなかった。競技後の彼女は、戻ってきた時こそ気丈に振る舞っていたが、レースの敗因を考えているうちに表情が暗くなり、最後はタオル…