住友化学は4月30日、2024年3月期の連結業績予想を修正し、当期損失額が前回公表値(2450億円)から過去最大の3120億円に広がりそうだと発表した。岩田圭一社長は「危機レベルの数値だ」と述べ、V字回復に向けた取り組みを説明した。

 赤字の拡大は主に医薬品事業業を手がける子会社「住友ファーマ」の損失計上が影響した。住友化学は人員削減や外部専門家によるテコ入れ、新薬開発などで住友ファーマの立て直しを急ぐ。

 赤字の拡大を踏まえ、グループで実施している短期集中業績改善策も一段と加速させる。24年度末までに約5千億円のキャッシュ創出目標を掲げていたが、目標値を約6千億円に引き上げた。投資の圧縮や政策保有株の追加売却などを進める。

 事業の再編も急ぐ。具体的には、成長領域に農業分野「アグロ&ライフソリューション」と情報技術分野「ICTソリューション」、新規領域に先端医療関連事業「アドバンストメディカルソリューション」、基盤領域に環境負荷低減事業「エッセンシャル&グリーンマテリアルズ」をそれぞれ位置づけ、10月から新体制で事業に取り組む。

 各事業のコア営業利益として「アグロ&ライフソリューション」と「ICTソリューション」は30年までにそれぞれで1千億円、「アドバンストメディカルソリューション」と「エッセンシャル&グリーンマテリアルズ」は35年までに両事業合わせて1千億円を掲げた。

 同日、公表した24年度の連結業績予想は売上収益が2兆6700億円(前期予想比約9%増)で、営業利益は700億円(前期は4890億円の赤字)、当期利益は200億円(前期は3120億円の赤字)と、ともに黒字転換を見込む。