カーナビ、オーディオは純正品も市販品もスマホなどに押され、事業効率が悪化している

 三菱電機は、2025年までにカーナビゲーションシステムやディスプレイなどのカーマルチメディア事業撤退時期のめどを立てるとともに、カーマルチメディア製品の生産を姫路製作所(兵庫県姫路市)に集約することを検討する。同事業の製品はすでに新規受注を取り止めており、既存の納入先に対して製品を供給する時期について交渉中だ。カーマルチメディア製品の生産集約後に浮く生産能力は、産業用モーター製品などに充てていく。

 スマートフォン(スマホ)の普及などでカーナビやカーオーディオ市場の成長が見込めない中、同社は昨年4月に「課題事業」だったカーマルチメディア事業から撤退する方針を公表した。

 すでに新規の受注は停止しており、カーマルチメディア製品を納入している自動車メーカーに対して製品供給を打ち切る時期などについての交渉を進めている。供給量は段階的に縮小する見通しで、25年までに完全撤退する時期のめどがつく見通し。

 事業縮小に伴って工場での生産品目の再編を進める。カーマルチメディア製品の生産は姫路製作所に集約する。三田製作所(兵庫県三田市)はカーマルチメディア製品の生産を取り止め、成長領域の製品を生産する工場に衣替えする。姫路製作所でもカーマルチメディア製品の生産量の縮小に伴って段階的にグループ内の他の製品の生産ラインに切り替えることを検討する。

 三田製作所では、ファクトリーオートメーション関連製品や産業用モーターなど、今後、持続的な成長が見込まれる領域で、生産能力が不足する製品を生産する方向で検討する。高い品質が求められる自動車メーカー向け部品で培った量産技術を成長領域の製品などに生かして競争力の強化を図り、同社全体としての事業拡大を図る。

 カーナビやカーオーディオなどの車載製品は、高機能化によって開発コストが膨らむ一方で、スマホなどに押されて市販市場も含めて数量的な成長が見込めず、事業効率が悪化している。今後もこうした事業の縮小や撤退を探る動きが続きそうだ。

(2024/2/7 修正)