グループに住宅メーカーがある強みをEV販売に生かす
三菱自動車「eKクロスEV」と家をセットで提供する

 家電量販店のヤマダデンキ(上野善紀社長、群馬県高崎市)は、電気自動車(EV)と一戸建て住宅のセット販売に乗り出す。同社は三菱自動車との協業で、7月から軽EVの取り扱いを開始している。これに、車両と住宅で電力を融通できる設備「V2H(ビークル・ツー・ホーム)」や太陽光発電システムをパッケージ化し、ヤマダデンキのグループ会社の住宅と合わせて顧客に提案する。新車ディーラーの一部で系列会社が住宅販売を手掛けている例はあるが、家と車を一緒に販売するケースは珍しいとみられる。グループの力を生かした商品投入で、新規需要を創出する。

 ヤマダデンキは新たな試みを近く、発表する。ハウスメーカーのヤマダホームズ(竹中一行社長、同)と連携し、軽EVやV2Hなどと、一戸建て住宅の複合商品を提供していく。電動車は、双方向で電力を有効活用できる住居との親和性が高い。ヤマダデンキはグループに、住宅メーカーを持つ強みを生かし、車両と住居の需要を取り込む考え。

 EVと充電関連のパッケージ商品は、一戸建て住宅の仕様に合わせて複数の種類を用意する計画。V2Hや太陽光発電システムの機能や能力などに差をつけた製品から選べるようにし、建て売り住宅のほか、顧客の要望に合わせて設計する注文住宅など幅広い顧客層のニーズに対応できるようにする。また、パッケージ内の3種類すべてを購入することも必須の条件とする。

 同社では軽EVを単体の商材と捉えず、生活に必要なエネルギーをすべて電気で賄う「電化住宅」を構成する一つの製品として位置付けている。発電やV2Hと組み合わせてEVが持つ性能を最大限に引き出すことで、エネルギー効率が高い住宅として付加価値を高める狙い。加えて、内燃機関車に比べて利幅が小さいEVを、高収益な住宅とセットで販売することにより、収益力を引き上げる考えだ。

 EVやその関連製品、電化住宅などを一つの窓口で購入相談ができることから、消費者にとっても負担軽減につながるメリットがある。ヤマダデンキはEVから住居までを手掛ける独自性を武器に、従来の自動車販売店と異なる切り口で、EVの販売拡大につなげる計画だ。

(2023/9/7修正)