金融事業とモビリティサービスなどを融合させていく(アイシンが手がけるオンデマンド交通サービス「チョイソコ」)
金融事業とモビリティサービスなどを融合させていく

 トヨタ自動車は、グループで手がけるMaaS(サービスとしてのモビリティ)事業とデジタル地域通貨を連携させる。モビリティサービスの採算向上と地域活性化の両得を目指すとともに、系列販社をこうした活動の主軸に据える狙いがある。人口減少で国内市場の先行きは厳しい。トヨタは金融事業を含め、グループのサービスを結集して先手を打つ。

 まず、トヨタファイナンス(西利之社長、名古屋市西区)による地域通貨プラットフォーム「まちいちコイン」と、部品大手のアイシンが手がけるオンデマンド交通サービス「チョイソコ」を連動させる。まちいちコインは、系列販社が地域通貨を運営できるプラットフォームで、販社主導で地域通貨やクーポンを地域内の加盟店間で流通させ、相互送客や地域経済の活性化を目指すものだ。

 チョイソコはアイシンが2018年に始めたオンデマンド交通サービス。同社のカーナビ技術などを応用し、乗降客に合わせて最適な経路を割り出す。現在は約50地域(約130台)で導入されており、23年度内に100地域に広がる見通しだ。現在も病院や薬局、小売店などチョイソコ利用者の利用が見込める地域企業から協賛金を得て採算を高めているが、この運賃をデジタルポイントで支払えるようにする。

 さらに、まちいちコインをトヨタのMaaSアプリ「マイルート」や電子決済「トヨタウォレット」とも連携させていく考えだ。

 22年度の国内新車販売は約439万台。ピークの90年度(約780万台)に比べ4割減った。少子化や都市への人口集中で30年度には400万台を下回るとの予測もある。トヨタは、グループで手がける金融事業とモビリティサービスを融合させるとともに、地域事情に精通し、拠点網も持つ系列販社をMaaSや新サービスの担い手に据え、高齢者や自家用車を持たない利用者を含め、地域経済とともに生き残りを目指していく。