日本自動車工業会(自工会、豊田章男会長)がまとめた2021年度の国内自動車生産台数(商用車含む)は、前年度比5・3%減の754万5201台と3年連続で減少した。新型コロナウイルスの感染拡大や半導体不足による部品調達難の影響で大幅に減少した。コロナ禍前の19年度と比べると20・5%少ない水準だった。22年度はサプライチェーンの混乱も収束に向かう見通しだが、4、5月は自動車メーカー各社ともに稼働停止を余儀なくされる状況が続いており、先行きが見通しにくい状況だ。

 車種別の生産台数は乗用車が同7・3%減少する一方、トラックが同6・2%増加し、明暗が分かれた。乗用車の内訳は普通車が同3・1%減、小型車が同14・7%減、軽四輪が同13・0%減とそれぞれ大幅に減少。トラックは、いずれも19年度の水準に達していないものの、小型トラック、軽四輪トラックが減少したのに対し、普通トラックが同22・7%増と大幅に回復した。バスはコロナ禍による観光需要の縮小で減少した20年度からは回復した。3月は乗用車、トラックともに減少し8カ月連続のマイナスだった。

 22年度の国内生産は、トヨタ自動車が同8・7%増の300万台を計画するなど一定の回復が見込まれる。ただ、4、5月は中国の「ゼロコロナ」政策によるサプライチェーンの混乱などで日本の工場の稼働率は低迷した。中国のロックダウン(都市封鎖)は段階的に解除されており、正常化に向かいつつあるものの、「まだまだ不透明な環境で慎重に計画を組んでいる」(ホンダ)などと、警戒感を抱く自動車メーカーは多い。

 自工会がまとめた4月の自動車輸出台数は同11・6%減の31万4263台と4カ月連続のマイナスだった。国別では最大仕向け地の米国向けが同8・1%減の10万9037台だった。中国向けは同30・4%減の1万9186台、ウクライナ侵攻で物流網が混乱しているロシア向けの輸出台数は同92・5%減の709台だった。