トヨタ自動車は20日、レクサスの新型電気自動車(EV)「RZ」を世界初披露した。レクサスブランドでEV専用モデルを投入するのは初めて。前後2つのモーターによる新たな四輪駆動システム「ダイレクト4」を初採用し、高度な駆動制御による高い操縦安定性と、効率的な駆動配分で省電力化を実現した。世界販売台数は年間3万3千台を計画し、今冬から各地域に順次投入していく。

 EV専用プラットフォーム「e―TNGA」を採用する。ボディーサイズは、同クラスのレクサス「RX」と比べて全幅は1895㍉㍍と同じだが、全長は85㍉㍍短い一方、ホイールベースは60㍉㍍長い。ロングホイールベース化により、広い後席空間を実現した。

 ダイレクト4はフロント150㌔㍗、リア80㌔㍗のモーターをそれぞれ0~100%の間で制御する。発進・加速時は車両のピッチングを抑えることでダイレクトな加速感を実現。コーナリング時はステアリングの切り始めからコーナー脱出時にかけて駆動配分を変えることで旋回性を高めた。また、駆動配分のコントロールでシステムを最大効率化して消費電力を抑える「レンジモード」を初採用した。

 バッテリー容量はトヨタ「bZ4X」と同じ71・4㌔㍗時で、航続距離はJ―WLTCモードで約450㌔㍍。bZ4Xと同様に、10年後の電池容量維持率は90%以上と世界トップクラスを確保した。インバーターにシリコンカーバイトのパワー半導体素子を初採用するなど、航続距離を伸長するための新技術も採り入れた。

 外装デザインでは、レクサスの特徴である「スピンドルグリル」を、エンジン冷却を必要としないEVの特徴を反映した「スピンドルボディ」として表現した。室内では、ハンドル操作を電子的に行うステアバイワイヤによる異形ステアリングを用意する。また、シフトバイワイヤによってダイヤルシフトノブをレクサスで初採用した。

 地域ごとの年間販売台数は、中国が1万8千台、欧州が7千台、北米が5300台、日本が900台、その他地域で1800台を計画する。生産は元町工場(愛知県豊田市)で行う。