電動車いすの開発、販売を手掛けるWHILL(ウィル、杉江理社長、東京都品川区)は8日、最新型モデル「ウィルモデルC2」のサブスクリプション(定額利用)サービスを開始すると発表した。代理店を通さずに直接提供し、月額料金は1万4800円(非課税)に設定した。1カ月単位で気軽に利用できるプランを用意することで、免許返納者などに近距離移動のモビリティとして訴求する。

 同社によると電動車いすのレンタルサービスをメーカーが直接提供するのは珍しい。電話で利用希望者からの注文や問い合わせを受け付け、納車やアフターサービスも同社が直接専門スタッフを派遣する。最低1カ月から無期限で貸し出す。月額料金には車両代やバッテリー、充電器の利用料を含めたほか、運転アドバイスなども行う。保険とロードサービスなどをセットにしたオプションなども用意した。

 8日に開いたメディア向けオンライン発表で杉江社長は「シニアが安全に利用できる近距離移動サービス。高齢者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)向上につながる」とし、介護認定者だけでなく、幅広い層に利用を促していく考えだ。

 国内の電動車いすはこれまで、介護保険の適用を受け、介護系の流通事業者を通じて利用するのが一般的だった。一方、国土交通省の調べによると、500メートル以上の歩行が困難な人は、65歳以上高齢者のおよそ3割、約1千万人に上るという。こうした中、介護認定者以外も電動車いすを気軽に利用できるサブスクサービスを用意することで、高齢者の近距離移動ニーズに応えていく構えだ。

 同社は現在、全国に代理店網を敷いており、新車ディーラーでもトヨタ系、ホンダ系、マツダ系などの12社が取り扱っている。こうした代理店でのサブスクサービスは「今のところ予定していない」(広報担当)という。