那珂工場

ルネサスエレクトロニクスは3月19日、半導体を生産する那珂工場(茨城県ひたちなか市)で火災が発生したと発表した。火災は先端品を扱う300mmラインで発生。現在は生産停止しており、再開時期も未定としている。世界的に車載半導体の不足が深刻化するなか、今回の火災による操業停止が長引けば、自動車生産への影響に拍車をかける可能性もある。

火災は19日午前3時頃発生し、午前8時頃に鎮火した。従業員や建屋への被害はなく、工場外への有毒ガスなどの流出もないものの、一部用役設備に被害が出ている。出火現場はクリーンルームで、出火原因は不明。20日に警察や消防による現場検証を実施する。

火災による製造設備などへの被害が不明なため、300mmラインの再開時期は未定としている。一方で、建屋の異なる200mmラインやウエハテスト棟などは稼働しており、火災後も製品の出荷を継続している。

半導体大手のルネサスでは、2月13日に発生した福島沖地震で那珂工場の操業を停止した。また、半導体市場は、パソコンやスマートフォン、第5世代移動通信システム(5G)関連の需要が増えていたところへ、コロナ禍で落ち込んでいた自動車生産が急回復し、需給がひっ迫。2020年末ごろから車載半導体の供給不足が顕在化している。2021年夏までには正常化するとの見方もあるが、現時点では供給不足により自動車メーカー各社が稼働調整を実施している。