実験車両に乗り込む地上職員(全日空提供)
空港制限区域内を走行する実験車両(同)

 全日本空輸(全日空、ANA)は1日から、羽田空港で国内初となる空港制限区域内での大型電気自動運転バスの試験運行を行っていると発表した。実験は12日までの土日を除く10日間で、午前9時から午後5時まで、空港で勤務している地上職員を乗せて行っている。

 使用車種は、自動操舵装置や障害物センサー、走行制御コンピューターなどを搭載したBYD社製大型電気バス「K9RA」。自動運転レベル3相当で運行し、同社グループのグランドハンドリングスタッフ(飛行機の誘導や荷物の運搬などを行う地上職員)が第2ターミナル内を移動する際に使用する循環バス3台のうちの1台を大型電気自動運転バスにしている。

 ルートは、一周約2・5㌔㍍を約15分かけて走行する。発車・走行・減速・停止は全て自動運転で行う。国土交通省が試験的に作成した高精度3次元地図を使用し、安全性などさまざまな運用上の検証を行う。実験車両の乗車定員は57人だが、実験では密を避けるため、半数の28人を乗車上限としている。

 同社は昨年1月、同車両を使った実証実験を行った。今回は実際に勤務しているグランドハンドリングスタッフを輸送しており、実際の運用に準じた運行になっている。

 同社では今年中に、同車両を使った空港内での旅客輸送の試験運行を行い、早ければ来年中にも本格運行を始めたいとしている。また、2025年には自動運転レベル4相当の無人自動運転の実用化を目指している。