CF-RTM成形設備を新設したイナパル・プラスティコ社のパルメラ工場

 帝人は2日、自動車向け複合材料などを手掛けるポルトガルのグループ会社イナパル・プラスティコ社が、炭素繊維成形方法の1つであるCF-RTMの成形設備を新設したと発表した。製造工程の完全自動化を実現したのが特徴。部品の要求性能に応じた厚みの調整、炭素繊維を50%以上含有する高強度な成形品の製造が可能になる。射出時間は20秒と短く、生産効率向上にも寄与する。

 CF-RTMは、金型の中に炭素繊維シートを配置した後に樹脂を注入し、加熱により硬化させる成形方法。設備投資額は約550万 ユーロ (約6億8000万円)で、圧縮プレス機やRTM射出成形機、接合装置を導入した。新たな設備は、帝人グループが持つ炭素繊維やCAE(コンピューター支援エンジニアリング)解析、流体解析、プリフォーム、金型設計などに関する技術を駆使。製造工程の完全自動化を実現した。

 高い剛性が求められるホワイトボディーや主要構造部材の成形もできることから、すでに欧米自動車メーカーでの採用が決まっている。今後はリサイクルされた炭素繊維材料を使い、量産に向けた成形を3分で行える技術開発を進めていくという。

 同社は2030年頃をめどに、自動車向け複合材料事業の売り上げを20億ドル規模に拡大させる計画だ。