SGホールディングス(HD)と日立物流は24日、経営統合に向けた協議を当面の間、見送ると発表し、事実上統合を断念する。両社は2016年3月に経営統合を視野に入れて資本・業務提携を発表していたが、新型コロナウイルス感染症の影響で物流が停滞するなど事業環境が激変。提携の重要性が薄れたと判断した。資本関係も一部解消し、今後それぞれ独自路線で成長戦略を構築する。

 両社の発表によると、SGHDは、日立物流が保有するSG傘下の佐川急便の発行済み株式20%すべてを875億円で取得する。日立物流は988億円を上限に、SGHDが持つ日立物流株のうち最大24・8%分の自己株式買い付けを実施し、これにSGHDが応募する。売買は29日に完了し、日立物流はSGHDの持ち分法適用会社から外れる。

 SGHDは併せて2021年3月期の業績予想の見直しも発表した。日立物流が保有する佐川急便株式を取得する一方で、日立物流株の持ち分比率が下がることで、連結経常利益は890億円と前回発表予想より20億円減少、逆に純利益は550億円となり従来予想より25億円増加する。さらに、11月1日付で株式1株を2株に分割する。

 SGHDは宅配便大手、日立物流は企業間物流に強みを持ち、これまでは相互補完が成り立ち経営統合はメリットが大きいとみていた。両社は資本関係を見直して統合を見送る一方、営業活動での連携や施設・車両の共同活用、人材交流の分野では協力関係を維持する。