トヨタ自動車は、スズキからOEM(相手先ブランドで生産)調達した小型車を「スターレット」としてアフリカ市場に投入する。これまでは政府の公用車や商用車など中・大型車が中心だったが、経済成長に伴い増加が見込まれる個人向け小型車市場を狙う。トヨタは昨年、アフリカで約21万台を販売した。小型車市場を掘り起こすことで将来的には50万台の販売を狙う考えだ。

 トヨタのアフリカ事業を受け持つ豊田通商が1日、発表した。まず、スズキがインドのグジャラート工場(グジャラート州)で生産する「バレーノ」(排気量1・4㍑)をトヨタのスターレットとして南アフリカで今月中旬から約130万円で発売する。順次、アフリカ47カ国へ展開し、初年度は1万台の販売を目指す。

 トヨタとスズキは昨年3月、電動化技術や車両を融通し合う検討に入ることで合意した。この中でアフリカ市場に対しては、スズキがインドで生産・販売するバレーノのほか、SUV「ビターラブレッツァ」、セダン「シアズ」、ミニバン「エルティガ」の4車種をトヨタ向けにOEM供給する案件が含まれており、今回のスターレットはこの一環となる。残る3車種も順次、トヨタブランドでアフリカ市場に投入する。

 豊田通商によると、アフリカの新車市場規模(2018年)は中・大型車で約88万台、小型車38万台の合わせて約126万台。個人所得の向上などにより、豊田通商は中長期的に約200万台(中・大型車120万台、小型車80万台)に伸びるとみている。

 トヨタはこれまで「ハイラックス」「ランドクルーザー」「カローラ」など500万~1千万円の車両を主に販売し、中・大型車ではアフリカの7割以上の国でシェア首位だ。ただ、小型車市場は手薄で、独フォルクスワーゲンや韓国・現代自動車が先行する。スズキのコスト競争力を生かして商品を充実させ、小型車市場でもシェア拡大に乗り出す。