トヨタ自動車グループで自動運転の先行開発を手がけるトヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(TRI―AD、ジェームス・カフナーCEO)は28日、事業強化に向けて持ち株会社と2つの事業会社体制に来年1月に移行すると発表した。事業会社のウーブン・コアは足元の自動運転技術開発、ウーブン・アルファはスマートシティなど未来に向けた新領域の推進と、それぞれに役割を分ける。

 持ち株会社のウーブン・プラネット・ホールディングスは、グループ全体の意思決定を担う。「トヨタ」の名前を排した新たな3社体制で、ソフトウエア開発をより効率的に進める。

 TRI―ADは2018年3月にトヨタ、デンソー、アイシン精機が共同出資して設立。ソフトウエアのアジャイル開発をスムーズに行うプラットフォーム「Arene(アリーン)」の開発や、自動車専用道路で高度運転支援を可能とする「チームメイト」の開発主導などを行ってきた。

 チームメイトの次期「レクサスLS」への実装が決まり、一つの節目を迎えたことに加えて、ソフトウエア開発の次のステージを見据えた新体制へと移行する。ウーブン・コアはTRI―ADの存続会社として社名変更し、トヨタグループの自動運転技術の開発を引き続き行う。新設する事業会社のウーブン・アルファは、トヨタが開発を進める静岡県裾野市の「ウーブンシティ」をはじめアリーンなど既存の事業領域を超えた新事業を推し進める。持ち株会社は、パートナー企業との協業拡大などの新事業開発も担う。

 3社の代表はカフナーCEOが就く。資本金は持株会社が200億円、ウーブン・コアが5千万円、ウーブン・アルファが1億円。

 トヨタの豊田章男社長は「TRI―ADは〝ウーブン〟の名の下に、人々がもっと幸せになれる未来の実現に向けて、さらにアクセルを踏み込める体制に生まれ変わる」とコメントした。