グループPSAは、フランスの大手自動車メーカーのプジョーが経営不振だった同国のシロトエンを傘下に収めて誕生しました。プジョーは1810年からプジョー兄弟が鋼材、コーヒーミルの製造を手がけ、ガソリン四輪車の製造にたどり着きました。一方、シトロエンは1919年に創業者アンドレ・シトロエンが創設しました。76年にプジョーがシトロエンを吸収合併し、持株会社「PSA・プジョーシトロエン」を設立しました。

 現在ではプジョー、シトロエン、DS、オペル、ボクソールの5ブランドを擁しています。DSはシトロエンの高級サブブランドとして発足し、2015年にシトロエンから独立しました。

 オペル、ボクソールはそれぞれドイツ、英国の自動車メーカーでした。両社とも長年、米ゼネラル・モーターズ(GM)傘下の時代が続きましたが、17年にPSAグループ入りしました。両社の販売車種は現在は共通で、英国ではボクソールですが、その他の欧州圏ではオペルで販売しています。

 オペルは来年にも日本市場に再参入します。国内では輸入車販売の老舗のヤナセが長く取り扱っていた経緯があるため、多くのユーザーにも馴染みは強いです。

 CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)に象徴される自動車業界の変革期の中で、グループPSAは19年12月にFCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)との統合を発表しました。両社を合わせた世界販売台数は870万台で、業界では第4位の座に躍り出ます。新会社の最高経営責任者(CEO)にはPSAのカルロス・タバレスCEOが、会長にはFCAのジョン・エルカン会長が就任します。従業員は合わせて約40万人で、合併に伴う既存工場の閉鎖はしない方針。工場閉鎖なしに年間37億 ユーロ  (約4500億円)の相乗効果を見込みます。

 15日には経営統合後の新会社の社名を「ステランティス(STELLANTIS)」と発表しました。21年第1四半期の合併を目指しており、ステランティスは「星で輝く」を意味するラテン語の「ステロ」に由来します。