FCAはフィアット・クライスラー・オートモービルズの略称で、2014年に発足しました。イタリアのフィアットと米国のクライスラーの統合により誕生し、北米と欧州に事業基盤を置いています。昨年12月にはフランスのグループPSAとの統合で合意。両社を合わせたグローバル販売台数は約870万台となり、世界の自動車業界で第4位となります。

 フィアットがクライスラーに出資を決めたのは09年です。前年のリーマンショックでゼネラル・モーターズ(GM)、フォードと並んで大きな打撃を受けたクライスラーを救済する形で、フィアットが35%の株式を取得しました。14年にはクライスラーを完全子会社化し、現在では持ち株会社の下に両社が位置付けられています。

 フィアット、クライスラーともに国内販売の歴史は長く、さまざまな企業が正規輸入を手がけてきました。販売面でもさまざまな事業者が名乗りを上げており、かつて「フィアット」をマツダの「オートザム」で、「ジープ」をホンダディーラーで取り扱っていたといった経緯もあります。

 現在は国内でフィアット、ジープに加え、「アバルト」「アルファロメオ」を取り扱います。最近ではSUVブームに合わせ、各ブランドでさまざまなニューモデルを相次いで投入。躍進が目立つのがジープで、19年(1~12月)の新車販売台数は前年比16.8%増の1万3360台と伸長しています。

 さらに、グループPSAとの統合に伴い、プレミアムからSUV、トラックまで車種ラインアップを拡充できます。統合に伴う生産の効率化、事業基盤や財務体質の強化も図ります。両社の合計売上高は18年実績ベースで1700億 ユーロ (約20兆5千億円)、経常利益は110億 ユーロ (1兆3千億円)、統合による事業効率化などによって約37億 ユーロ (約4千億円)を見込みます。そしてCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)に象徴される自動車業界の技術革新の進化への対応のスピードアップが期待されています。