全樹脂電池の構造

 豊田通商は、次世代型のリチウムイオン電池「全樹脂電池」の開発を手がけるAPB(堀江英明社長、東京都千代田区)の第三者割当増資を引き受けたと発表した。出資額や比率は非公表だが、出資を契機に自動車用への展開を含め、世界初となる全樹脂電池の実用化を支援する。三洋化成工業の子会社であるAPBは、JFEケミカルなど7社からすでに約80億円を調達している。豊田通商の資本参加で、同社のネットワークを開発や販売に生かす。調達資金などをもとに福井県に工場を作り、2021年からまず定置用電池を生産する計画だ。

 一般的なリチウムイオン電池は、電流が電極と並行に流れる。全樹脂電池は、電流を電極の垂直方向に流す「バイポーラ構造」をとることで、樹脂の集合体を正極と負極に用いる。安全性が高まるほか、電極を厚くすることでセル(単電池)を大型化できたり、形状を自由に変えられたりできる。製造工程も簡単になるという。

 まずは、太陽光発電などの需給調整用やビル用といった中大型の定置用電源として実用化する。その後、自動車用などを含め、幅広い分野で応用を検討していく考えだ。