スバルは航空機メーカーがルーツです。1917年に設立された「飛行機研究所」を前身とし、31年には「中島飛行機」となって航空機やエンジン生産を行っていました。旧日本陸軍の歴代主力戦闘機を送り出すなど日本最大規模の航空機製造会社でしたが、終戦後はGHQにより企業が分割。53年に旧中島系の主要企業が共同で富士重工業を設立します。その後、車名に使われていた「スバル」が定着したため、2017年に社名も「SUBARU」に変更します。

 航空機メーカーをルーツに持つスバルは自動車の設計も独自の思想を採り入れ、特に走行性能に強いこだわりを持ちます。特徴的な技術としては、水平対向エンジンと四輪駆動が挙げられます。他社とは一味違ったクルマづくりを貫き続けていることから、同ブランドを支持する「スバリスト」というファンも存在するほどです。

 近年は悪路走破性や安全性能が高く評価され、北米で販売台数を伸ばしています。ただ、スバルの北米販売は全体の7割に達し、他メーカーに比べて収益構造が“北米1本足”であることが懸念されます。20年3月期の決算では販売好調で乗用車メーカーで唯一、増収増益を果たしましたが、米国で新型コロナウイルスの感染影響が甚大となる中で、北米依存が21年3月期の業績を直撃するとみられます。

 スバルは世界生産、販売が約100万台と、国内の乗用車8社の中で最も規模が小さいメーカーですが、独自技術で築いてきたブランドで高い収益力を維持してきました。一方、電動化や自動化といった次世代自動車技術への投資負担が増す中で、スケールメリットを打ち出すべく、05年に提携をスタートさせたトヨタ自動車との協業を加速しています。スバルの四輪駆動技術とトヨタの電動化技術を融合した電気自動車(EV)を20年代前半に投入する計画です。