フェライト磁石

 日立金属は27日、同社と子会社が製造する特殊鋼製品と磁性材料製品の一部で検査不正などがあったと発表した。顧客に提出する検査成績書や製造工程の一部を改ざんして報告していた。対象顧客は自動車部品メーカーなど延べ約170社。現時点では今回の不適切事案で安全性や性能などに関する問題は発生していない。同日、電話会見を行った西山光秋会長兼CEOは「少なくとも10年以上は続いていた」と説明した。

 2020年1月に特殊鋼製品を製造する安来工場(島根県安来市)の不適切行為に関する情報提供とその後の調査で一連の不正が発覚した。特殊鋼製品では14品種を約30 社に納入されたことを確認した。

 磁性材料製品では自動車の電装・駆動用モーターなどにも使うフェライト磁石と希土類磁石の製品の一部で検査成績書の改ざんが発覚した。2製品合計で自動車部品メーカーなど約140社に納入されたことを確認。対象工場は熊谷磁材工場(埼玉県熊谷市)や佐賀工場(佐賀県大町町)、子会社、韓国やインドネシアなどの海外拠点などとなる。

 不適切行為の発覚後は顧客に対して個別に報告し、対応について協議を続けている。また、27日付で弁護士などで構成する「特別調査委員会」を設置し、客観的な視点での事実関係や発生原因の調査を依頼した。同委員会の調査結果を踏まえて、コンプライアンスの強化など再発防止策に取り組む。不正に関する業績に与える影響は現時点では不明としている。